日中戦争下、アヘン密売で家族を救おうとする漫画『満州アヘンスクワッド』が面白い

総合評価:★★★☆☆

ほぼネタバレ無しの記事です

「満州で一番軽いものは、人の命だ」

時は昭和12年。関東軍の兵士として満州にやってきた日方勇は、戦地で右目の視力を失ってしまう。「使えない兵隊」として軍の食糧を作る農業義勇軍に回され、上官に虐げられる日々を送るも、ある日農場の片隅でアヘンの原料であるケシが栽培されていることに気づく。病気の母を救うためアヘンの密造に手を染める勇だったが、その決断が自身の、そして満州の運命を狂わせていく…。

満州アヘンスクワッド

アメリカの人気ドラマ『ブレイキング・バッド』と同じく、薬学に詳しい主人公が家族の為にドラッグの密売に手を染める、というあらすじの『満州アヘンスクワッド(現在3巻まで販売、絶賛連載中)』が面白いので紹介したい。

原作者はヤングマガジンで連載されていた『首を斬らねば分かるまい』などの作品で知られる 門馬 司 が手掛けている。時代設定はそのタイトルから察せられる通り、1937年(昭和12年)から1945年(昭和20年)の間。この頃に勃発していた大日本帝国と中華民国の間で行われた日中戦争下の中国を舞台に、中国のアヘン市場を巡った熾烈な争いを描いた本作。

最初の数ページは、“主人公の現在” を説明するためのダイジェストが展開されるのだが、その見せ方がメチャクチャ上手く、その数ページだけで「この漫画はきっと面白い」と期待させるほどの出来栄えだ。もちろんその後もその期待に裏切らないストーリー展開となっている。

「アヘンを密造して売買する」ということは、併せて裏社会を牛耳る巨大組織を相手にすること。主人公には常に過激で過剰な暴力が降り注ぐ。そして依存性の高い薬物を売買する物語なので、薬物でラリった描写がたくさん出てくる。

しかし表現的にはそんなエグ過ぎる程ではなく、要所要所に恋愛要素やコミカルな描写を挟んでいてダーク過ぎない展開は観ていて気分が重くなったり胸が痛くなるようなことはあまりない。

歴史や薬学の勉強にもなるが、史実や事実とは異なる部分が多少混ざっているので、本作で描かれていることを鵜呑みにするのは注意した方がいい。

amazonでは1巻のレビューが144件、総評⭐️4.5と高評価。いくつかレビューを引用するので参考にしてほしい。

「ブレイキングバッド的な成り上がりはめちゃくちゃワクワクする!連載読む限り、ここからどんどん仲間を増やして大人版ワンピースみたいになっていくんだろうな。今後も期待大!」

1巻のレビュー

「かんたんに言えば、満州国版ブレイキング・バッド(暗め、笑いなし)みたいな感じだろうか。」

1巻のレビュー

など、やはりブレイキング・バッドを彷彿するユーザーが多いようで、最新3巻のレビューでは

こんなにハラハラドキドキできる漫画はなかなかない!!!

3巻のレビュー

少年向けジャンプ漫画のような展開。本作品の読者の多くは、そのような方向は望んでいないのではないでしょうか。救いようのない残酷で暗い描写・ストーリー展開に戻ってくれることを切に願います。

3巻のレビュー

といった絶賛の声と共に、軽いストーリー展開を望まないコメントが寄せられている。確かにブレイキング・バッドのエグさや緊張感が好きな人には物足りないかも知れないが、ダーク過ぎない部分は短所であり長所でもある。

というわけで本作は、「少年漫画は軽すぎてつまらない、アングラ漫画は重すぎて辛い」という人にオススメしたい。