号泣してしまう映画『7番房の奇跡』レビュー

ネタバレ含みます。ご注意ください。

こんにちは。先日『7番房の奇跡』っていう韓国映画を観たので、今回はこれを紹介します。

本作は2013年に公開され、韓国のアカデミー賞とも言われる大鐘賞では4部門を受賞し、歴代8位の動員数を記録した超ヒット作です。

世の中には障害者が奮闘する姿が健常者の感動コンテンツとして消費される「感動ポルノ」って言葉がありますが、これはある種の感動ポルノ的映画と言えるかも知れません。

友人に勧められて一緒に見たのですが、もう後半は友人と共に号泣しっぱなしでした。間違いなく今まで観た映画の中で一番泣いた映画です。もうエグいくらいに泣かせにきます。

どん底から始まる刑務所ライフ

知的障害者の父イ・ヨングと、その娘である幼女イェスンは、経済的に苦しい生活を送りながらも2人で幸せな日々を送っていたのですが、ある日、父に少女殺害の容疑をかけられてしまうのです。

死亡した少女の父は警察署長で、娘を亡くし怒りに狂った警察署長は、障害者であり、無罪であることを主張できない父イ・ヨングを問答無用で殺人犯にしたて、父は刑務所に入り娘と離れ離れになってしまうんです。

この辺りは感動物語に欠かせない「どん底」の部分ですね。感動する映画はこの底が深ければ深いほどストーリー展開でガツンと同情を誘うことができます。社会的に成功している悪人が、社会的に貧しい善人(しかも障害者と幼女)を陥れるという、セコいほどの設定をしています。

ほのぼのさせて情を擦り込ませてくる登場人物たち

凶悪犯として刑務所に送られた父イ・ヨングは、同じ部屋(七番房)の囚人達と出会うわけなんですが、最初イ・ヨングの罪状を聞いて「最低なやつだ」って嫌うんですね。

でもイ・ヨングと暮らしていくうちに囚人達は「あ、こいつ良いやつじゃん。本当は犯人じゃないんだろうな」と思い始めます。で、イ・ヨングは「一人残された娘イェスンに会わせて欲しい」と囚人達に頼みごとをします。そして彼らの助けを借りて娘のイェスンをどうにか七番房に連れてくることに成功するんです。

この辺りはハートフル&コメディ要素たっぷりで、我々視聴者は「彼らの思い出」を共有させられます。この部分で登場人物の愛着や情をこれでもかと言うくらいに刷り込まれるわけです。王道の展開ですが、ここまでの持って行き方がめちゃくちゃ上手い。

逆転劇と悲劇のハッピーセット

で、終盤なんですが、悪を倒す逆転劇と悲劇が怒涛に押し寄せてきます。「ほら泣けよ」と、まるで号泣を強要してくるかのようなストーリー展開です。6歳程度の知能レベルの主人公と、バカな囚人達のクスっと笑える暖かいストーリー、そして畳み掛けられる怒涛のシリアスシーンのコントラストが激しすぎて、涙腺は崩壊し、嗚咽が止まらなくなります。

また、ストーリー構成も秀逸で、観終わった後に、必ずもう冒頭の10分を見返したくなるでしょう。色々な映画構成の良い所を詰め込んだ感じですね。

とにかく、泣きたい人は一度観てみてください。イェスンかわいい。