今回は、2019年のグラミーにもノミネートされ、幅広い層に支持される『SOPHIE(ソフィー)』を紹介したい。
SOPHIE(ソフィー)とは
ソフィーは、1986年9月17日にスコットランドのグラスゴーに生まれ育ったプロデューサー、シンガー、DJであり、トランスジェンダーのアーティストとして知られている。
彼女が音楽にハマったきっかけとなったのは、彼女の父親がよく車の中でかけていた電子音楽だ。なんでも子供の頃は、全ての時間を費やして父親のカセットテープを片っ端から聴いていたという。
誕生日の頃にキーボードをプレゼントされたことで作曲をするようになり、10歳になる頃には両親に「電子音楽プロデューサーになりたいから学校を中退したい」と申し出るほどの音楽好きに育つ。
ソフィーは曲作りに没頭するあまり部屋にこもりっきりだったらしく、妹はソフィーが何をしているのか分からなかったそうだ。後に妹はソフィーはDJをしているのだと思いこみ、自分の結婚式にDJをしてもらうようにソフィーに頼むことになる。これが機会となりソフィはDJも開始。そしてMotherlandというバンド活動も結成する。
SoundCloudに投稿を開始
2011年、25歳になるとソフィーはSoundCloudページに”Eeehhh”、“Dub ”、”Vox”などいくつかのトラックを公開する(現在は削除されている)。
そして2013年2月、ロンドンを拠点とするレーベル「Huntleys + Palmers」からデビューEP”Nothing More Say to Say”をリリース。これはSoundCloudにUPした“Dub”と、”Vox”をミックスした曲となっているそうだ。(”Eeehhh”はB面として使用されている)
音楽メディアに絶賛される
同年、SoundCloudにバンドメンバーのMarcella Dvsiをボーカルとしてフィーチャーした“Bipp”をはじめ、“Elle”、“OOH”など複数の曲を公開。特に“Bipp”は業界でも話題となり、XLR8Rやピッチフォークといったメディアが絶賛した。
Kawaii文化に影響を受けた楽曲
2014年には『きゃりーぱみゅぱみゅ』と対談し、『Charli XCX』ともコラボ。きゃりーぱみゅぱみゅや中田ヤスタカの楽曲をエディットした楽曲がネット上で出回る。そしてEP”Lemonade”、”Hard”がリリース。kawaii要素が含まれた独特のサウンドでファンを魅了した。
ソフィー×安室奈美恵×初音ミク
2015年に”MSMSMSM” / “Vyzee”、と”L.O.V.E.” / “Just Like We Never Said Goodbye”をリリース。Trap、エレクトロポップ、実験音楽など、それぞれ色の違う個性的なトラックで各方面の音楽好きを唸らせた。また、この年に公開された安室奈美恵と初音ミクのコラボ曲“B Who I Want 2 B”のプロデューサーを勤めたことで日本でも話題になった。
トランスジェンダーを告白
そして2017年。シングル“It’s Okay To Cry”、次に”Ponyboy”をリリース。彼女は“It’s Okay To Cry”で初めてソフィー自身が歌い、ミュージックビデオに出演し、自身がトランスジェンダーの女性であることを発表。この曲は今までと違って全体的におとなしい構成となっているが、MVで3:25から見せる弾け具合に度肝を抜かれたリスナーは多い。
グラミーにノミネート
2018年4月に“Faceshopping”のMVを公開。ドラッギーで狂気的な映像と楽曲はすぐさま話題となる。その後6月にデビューアルバム「Oil of Every Pearl」を自身のレーベル「MSMSMSM」、Flumeが所属するレーベル「Future Classic」などからリリースする。このアルバムは2019年2月10日にLAで開催された第61回グラミー賞<ベストダンス/エレクトロニックアルバム>にノミネートされた。このカテゴリーでノミネートされた。惜しくも受賞は逃してしまったが、ノミネートされた作品の中で1番アンダーグラウンドで“前衛的”だったのは彼女だっただろう。
2019年3月には『Flume(フルーム)』のミックステープ「Hi This Is Flume」にてソフィーの曲をリミックスしたトラックとフィーチャーした曲を使い話題をよんだ。
ポップもアンダーグラウンドも飲み込んだサウンドで多くの音楽好きを魅了するソフィー。彼女はどこに向かい、どのような表現をしていくのだろうか。今後の活動に目が離せない。