アブラムシがアリを操作していることが判明

「ヨモギヒゲナガアブラムシ」と呼ばれるヨモギに住むアブラムシがおり、このアブラムシは蟻(アリ)と共生関係を築いていることで知られる。アブラムシが排泄した液体(甘露)をアリが栄養源として摂取しているので、アリはアブラムシを外敵から守るため随伴する、という構造だ。

上記のように、アブラムシは排出した甘露をアリに搾取されるだけなので、これまでアブラムシはアリの家畜のような存在だとされていたが、今回の研究結果では随伴アリを化学物質であるドーパミンを使って利己的に操作していたということが判明。2021年9月17日公開の学術雑誌Scientific Reports誌にオンライン掲載された。

北海道大学大学院の工藤達実氏、同大学院農学研究院の長谷川英祐准教授らによる研究グループは、アリ随伴型のヨモギヒゲナガアブラムシが排泄する甘露には、脳内アミンの1種であるドーパミンが含まれており、甘露を摂取した随伴アリの攻撃性が上がることを解明自然選択が生物多様性の維持に果たす役割の理解を、より一層深めるための重要な成果を残した。

今後の研究結果にも期待したいが、一方でアブラムシの甘露を大量に集めて摂取するようなクソジャンキーが現れることにも期待を寄せたい。

※ドーパミンとは神経伝達物質の1つで、アドレナリン、ノルアドレナリンの前駆体(ある物質が生成される前段階の物質)でもある。分泌されると快感や多幸感を得たり、意欲が向上するなどの現象が見られる。

ヨモギヒゲナガアブラムシ(写真左上)とそれに随伴するトビイロケアリ(写真右下)
写真:川内谷亮太

参考・引用:https://www.hokudai.ac.jp/news/2021/09/post-907.htmlhttps://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/210927_pr2.pdf