ネアンデルタール人よりも現生人類に近い『竜人』の化石が発見|論文発表

中国の北東部にある黒竜江でネアンデルタール人よりも現生人類に近いホモ・ロンギ(Homo longi)』または『竜人(Dragon Man)』と呼ばれる旧人類の頭蓋骨の化石が発見され、TheInnovationにそれについての論文が掲載された。

この頭蓋骨は男性のもので、少なくとも146,000年前のものであるとし、これまで私たち現生人類(ホモ・サピエンス)に最も近い人類種とされていたネアンデルタール人よりも現生人類に近い種とされる。

河北地質大学の古生物学者である Qiang Ji 氏は「この頭蓋骨は、他のホモ種とは一線を画す特徴の組み合わせを示しています」だと語る。

短い顔に小さな顎、奥に長い脳頭蓋、厚い眉、大きな臼歯、正方形に近い眼窩(眼球のくぼみ部分)などが特徴として見られ、これらの特徴はネアンデルタール人を含む絶滅した人類種を想起させる。

研究者たちは、アフリカ、アジア、ヨーロッパの中期更新世(約78万年前~12万年前)の化石と比較したところ、ホモ・ロンギが約95万年前にホモ・サピエンスと共通の祖先を共有していたのに対し、ネアンデルタール人は100万年以上前にホモ・サピエンスと共通の祖先を共有していたことが判明した。これが真実であれば、ホモ・ロンギはネアンデルタール人よりもホモ・サピエンスに近い関係を持っていることになる。

人類の進化に関する研究で有名なロンドン自然史博物館の自然人類学者クリス・ストリンガーなどが所属する研究チームでは、極寒の南部地域に拠点を置くホモ・ロンギが、気温が上昇したタイミングでアジア全域に広まったのではないかと考えられており、今後、頭蓋骨からDNAを抽出し、タンパク質構造を特定して、古代人類であるデニソワ人との関連性を調べる試みが行われるという。

「Homo longi」および「竜人(ドラゴンマン)」の名前の由来は発見された 黒竜江(Heilongjiang) から由来しており、この頭蓋骨の化石は現在、中国の石家荘市にある河北GEO大学の地球科学博物館に保管されている。

Top image Credit: Xijun NI / References: ScientificNews “‘Dragon Man’ skull may help oust Neandertals as our closest ancient relative”