地球が243日経ってようやく一周する金星の遅い自転によって、巨大な水雲が形成されたまま太陽光のほぼ半分を遮り、大量の水を保有していたということが、NASA のゴダード宇宙研究所 (GISS)が行ったシミュレーショにより明らかになった。
この結果により、多くの科学者は現在、金星が過去30億年もの間、広大な海を維持していた可能性があると考えており、NASAは金星が灼熱の惑星に変化した手がかりを探す新規ミッションの開発に10億ドルを費やすと発表した。
金星は、水星や火星とともに「地球型惑星」と呼ばれたり、大きさや密度が地球とよく似ていることから「地球のふたご星」と呼ばれいるが、地表は岩石で覆われ、表面気温は500度近くもある。
これまで、およそ45億年前に誕生した金星は、直後にすべての水分を沸騰・蒸発させ、紫外線が水蒸気の分子を分解。分解された水素は宇宙に飛ばされ、水素結合ができなくなったことにより金星が非常に早い段階で乾燥した灼熱の星へと変貌させたと推測されていた。
しかし、金星に大量の水が何十億年と存在していたとなると、数億年しか水を持っていなかった火星よりも生命体が誕生していた可能性が高いと推測できる。「金星が30億年も水を持っていたのに、なぜ我々は3億年しか水を持っていなかった火星を見るのでしょうか?」マウント・ホリヨーク大学の惑星学者で、今回の新規ミッションの 1 つである「VERITAS」の副主任研究員であるダービー・ダイヤーは金星の持つポテンシャルに期待している。
現段階では「なぜ水が失われたのか?」という問いに明確に答えられるまでには至っていないが、これらを解明できたとすれば、地球型惑星を居住可能な場所にできるようにする糸口が見つかるかもしれない。