「海の忍者」や「海のカメレオン」などの異名を持つコウイカが本気で擬態した映像が「すごすぎる」と話題となっています。
コウイカ(Sepia esculenta)と呼ばれるこのイカは、とても優れた擬態能力を持っています。皮膚の色はもちろん、皮膚の質感や形状を変化させて、周囲の環境とシームレスに調和する擬態性能は彼らの右に出る者はいないでしょう。彼らの擬態スキルはどうなっているのでしょうか。それには秘密があります。
コウイカの色や形が変わる仕組み
筋肉と皮膚の間にある神経系の胚組織「色素胞」の一種「虹色素胞」は、細胞を伸縮させることによって、赤、黄、緑、青、と自在に色を変化させることができます。
「虹色素胞」は、リフレクチンというタンパク質で構成され、そのリフレクチンは神経情報伝達物質であるアセチルコリンによってリン酸化されタンパク質の表面電荷を変化させることでタンパク質の配置が変わるのですが、配置が変わると光の透過率や反射率が変化します。彼らはこの仕組みを利用して色を変幻自在に変えているのです。
さらにそれだけではなく、伸縮自在な皮膚を複雑に操る能力にも長けており、乳頭を隆起させて凹凸を作ったり、岩やサンゴなどの独特な質感を持たせたりすることができるようになっています。
ちなみに、コウイカなど頭足類の持つ擬態能力は最近になってようやく解明されだしたもので、遺伝子操作で人間に応用できるようになれば、理論上ではイカと同じように色を変化させれる人間も生み出せるそうです。ロマン。