ドラムンベースのサブジャンル一覧【音源付き】

数あるドラムンベースのサブジャンルをまとめました。1990年代初頭にJungle(ジャングル)から派生し、今やUKベースミュージックの人気ジャンルとして確立されたドラムンベースですが、数多く細分化され様々なサブジャンルが存在しています。

各サブジャンルごとの特徴と、他のジャンルとの聴き比べができるようにしましたので是非ご活用ください。

Jungle – ジャングル

1988年あたりに誕生したJungle(ジャングル)はドラムンベースの親ジャンルです。誕生の由来は諸説ありますが、イギリスのジャマイカ移民DJ達が、サンプリングしたブレイクビーツを倍速で流してレゲエを加えたことが始まりとされている。

ドラムンベースのようなブレイクビーツをそのまま倍速にしたリズムではなく、変則的なビートが特徴で、レゲエの要素が大胆に入っているものからレゲエ要素がほとんど感じられないものまで、ジャングルの中でも多種多様なサウンドスタイルが存在する。


Liquid Funk – リキッド・ファンク

近年ではEDM系のメロディックでエモーショナルな作品が増えているリキッド・ファンク・ドラムンベースは、Wax Doctor(ワックス・ドクター)とAlex Reece(アレックス・リース)らによって開発され、1999年にFabio(ファビオ)がこれらのドラムンベースを「リキッド・ファンク」と呼び始めたのが誕生のきっかけだと言われている。

アンビエント、ジャズ、ファンク、ソウル、ハウス、トランスなどの音楽から影響を受けたとされるこのジャンルは、名前の通りリキッド(液体)のごとく流れるように上品なサウンドが特徴。


Sambass – サンベース

2000年にOttoのサンバ音楽のリミックスアルバム「Changez Tout: Samba pra Burro Dissecado」にDJ PatifeとDJ Markyが参加し、そこで披露したあたりが始まりとされている。その後にDJ PatifeとDJ Markyを筆頭にサンベースをリリースし話題を呼んだ。

サンバとドラムンベースが混ざった陽気でファンキーなサウンドが特徴。Drum and Bossa(ドラムンボッサ)、Brazilianstep(ブラジリアンステップ)とも呼ばれる。


Breakcore – ブレイクコア

1990年代中頃から後半にかけてIDMのアーティストであるSquarepusher(スクエア・プッシャー)やAphex Twin(エイフェックス・ツイン)らを中心に開拓されたBreakcore(ブレイクコア)は、ジャングル、ハードコア、ドラムンベースを混ぜたスタイルで、ドラムサンプルを切り刻んで複雑に配置した機械的な高速ブレイクビーツが特徴。中でもドリルの音を発する様なブレイクコアは日本でドリルンベースと呼ばれ、海外にも広まった。


Techstep – テックステップ

1995年にEd Rush(エド・ラッシュ)とTrace(トレイス)らにより開発されたTechstep(テックステップ)は、当時ベルギーのレイブで人気があったハードなテクノに影響を受けている。テックステップのオリジネイター達の多くは現在、テックステップから変化したサブジャンル「ニューロファンク」に移行している。メロディを削ぎ落としたシンプルでダークなサウンドが特徴。


Neurofunk – ニューロファンク

1997年から1998年の間にイギリスのロンドンでテックステップの変化形として登場したNeurofunk(ニューロファンク)は、イギリス人音楽ジャーナリストのサイモン・レイノルズが、著書 Energy Flash にて「バックビートがブレイクビートに置き換わり、ファンクのハーモニーがインダストリアルの音色に置き換わり、ドロップに重点が置かれていないものを Neurofunk と呼ぶ」として名付けられたとされている。

年を重ねるごとに激しさを帯びた現在のニューロファンクは、他のサブジャンルに比べてダークでハードで無機質なサウンドが特徴。


Darkstep – ダークステップ

ダブステップ、ダークコア、テックステップ、ニューロファンク、そしてホラー要素が混ざり合った代物であるDarkstep(ダークステップ)は、誕生の経緯などが記述された資料がほとんどなく、Darkstep Recordsによると1999年にある音楽サイトのメーリングリストから誕生したという。

ドラムンベースのサブジャンルとされているが、BPMも音楽手法もダブステップ要素が色濃いサウンドとなっている。


Skullstep – スカルステップ

元々はダークステップから派生したというSkullstep(スカルステップ)は、ダークステップの邪悪でアグレッシブな部分を抽出した、ブレイクコアにも似たホラー要素満載の攻撃的なサウンドが特徴。


Jump Up – ジャンプアップ

一説では1990年代半ばに誕生したとされるが、あまり確かな文献は残っていないJump Up(ジャンプアップ)は発生当初、ローランドのTR-808で作成されたものが多かった。名前の如くバウンシーなビートに軋むようなシンセ、顔を溶かすうなり声、たっぷりのLFOを使用して作られた全身が震えるほどのワブルベースが特徴。最近ではEDMの影響もありメロディックなモノも見られる。


Artcore – アートコア

LTJ Bukem(LTJブケム)らアンビエントジャングル勢が開拓したArtcore(アートコア)は1995年付近に誕生したとされている。ジャズステップとリキッドファンクに似ているが、ジャズ過ぎずソウルフル過ぎない絶妙なラインのドラムンベース。

ちなみにジャンルの誕生当時、メディアからIntelligent Drum and Bass(インテリジェント・ドラムンベース)とも呼ばれていたが、LTJブケムら一部のアーティストらはインテリジェントという呼び名に「他のドラムンベースと同じくインテリジェントではありません」と反発していたそうだ。一部ではAtmospheric Drum and Bass(アトモスフィック・ドラムンベース)とも呼ばれている。


Halftime – ハーフタイム

Om UnitやIvy Labら複数のアーティストらによって2010年代初頭に登場したHalftime(ハーフタイム)は、本来のドラムンベースよりドラムの数を半分に減らすようなサウンドデザインで生まれたサブジャンル。Neurofunkをはじめとする様々な音楽スタイルから影響を受け、ダブステップ、ウォンキーなど、当時のUKベースシーン、そしてヒップホップに関連する特定のスタイルは、多種多様の奇抜な世界観を生み出している。

一部ではDrumstep(ドラムステップ)とも呼ばれる。


Jazzstep – ジャズステップ

ドラムンベースのサブジャンルというよりは、ジャングルのサブジャンル。アートコアが誕生した後に生まれたとされ、Roni Size(ロニサイズ)らによって開拓された。ジャズドラム、ウッドベース、ジャズボーカルをジャングル(ドラムンベース)に落とし込んだ大人のサウンド。


Darkcore – ダークコア

元々は1992年にUKのジャングルシーンから誕生したとされ、当時はDarkcore Jungleとも呼ばれた。ダークというだけあって暗く重いモノが多い。現在ではダークコアを専門に活動しているアーティストやDJは数えるほどしかいないのではないだろうか。


Autonomic – オートノミック

現在ではあまり見かけることのないAutonomic(オートノミック)は、Bad Companyの設立メンバーであるdBridgeとInstra:mentalが配信した「Autonomic Podcast」というポッドキャストで広まりその名前が付いた、エレクトロニカの要素が混ぜられたミニマル思考のドラムンベース。


参考 【Drum & Bass】世界を揺るがした ドラムンベース の起源と歴史【徹底解説】Coshitan

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