【House】ハウスミュージックの起源と歴史【徹底解説】

House music(ハウス)とは

ハウスとは、1980年代にDisco(ディスコ)から派生したダンスミュージックのジャンルです。ディスコよりも「深く踊れること」を目的に、黒人のゲイ文化で開発されたハウスは、BPM115〜130周辺の、規則的で反復する4つ打ちが特徴

誕生した当初はRoland TR-707、TR-909、TR-808、TB-303などのシンセサイザーやドラムマシンを用いて作られたリズムパターンに、ソウルフルなボーカル、そしてキャッチーなシンセフレーズで構成されていましたが、現在では多種多様なハウス存在しています。

ハウスがどんな音楽か分からない人はこちら↓のプレイリストをお聴きください。

ハウスは、ディスコの楽曲が収録されたテープを切り貼りして、シンセサイザーやドラムマシンの音を加えてリミックス/リエディットしたことでハウスへ変化したと言われています。

1970年代にアメリカの黒人を中心にムーヴメントとなったディスコは、「ダンスミュージック」としては改善の余地がありました。ヒップホップはディスコの楽曲の中からダンサーが一番踊れる「ブレイク(曲の間奏)」の部分だけをターンテーブルで抜き出して、それを繰り返し演奏することでブレイクビーツを生み出しました。

手法はヒップホップとは全く違いますが、ハウスもディスコをより踊れる音楽にした結果として誕生した音楽です。ボーカルは必須とされておらず、どれだけ気持ち良く、ひたすらに踊れるか、という「多幸的なグルーヴ」に重点が置かれています。

本記事では、海外メディアや書籍などを元にハウス・ミュージックの起源と歴史をどこよりも詳しく振り返っていきます。

ハウスの起源と誕生の背景

ハウスが誕生した時代のアメリカはどんな社会状態だったのでしょう。

1970年代、アメリカは差別が激しく、特に黒人差別とLGBT(同性愛者)にはとても酷く厳しい時代でした。同性間の性交渉を禁止する法律(通称ソドミー法)が適用されており、同性愛者らは自由に恋愛をすることも難しい状態だったのです。

そんな中でハッテン場(男性同性愛者の出会いの場所)として機能したのがディスコ(クラブ)です。普段はノンケ(異性愛者)として振る舞っている黒人の同性愛者たちは、夜な夜な日々のストレスを発散するために、隠れて営業するクラブに集まり、薬物で解放され、音楽で高揚し、トイレでセックスをするという、すさまじい文化を築いていたそうです。

ニューヨークで絶大な人気を誇ったディスコ専門のクラブ<パラダイス・ガレージ>のDJであったラリーレヴァンもゲイです。そして彼の友人であり、「ハウス・ミュージックの父」と呼ばれるFrankie Knuckles(フランキー・ナックルズ)もゲイでした。

DJだったフランキー・ナックルズは、1977年に新しくオープンしたゲイクラブ<The Warehouse(ウェアハウス)>にメインDJとして招かれ、1982年までプレイをして人気を博します。

1979年に起こった反ディスコ運動では、ロック愛好家の白人ラジオDJが「ディスコレコードを燃やそう」と呼びかけ、燃やしたいディスコレコードをシカゴの球場に持ち込むと入場料を割引するというキャンペーンを実施。

これらの運動によってディスコとゲイの立場はより一層弱くなりましたが、フランキー・ナックルズらの心は決して折れませんでした。彼らは通常のディスコにドラムパターンを録音したテープをミックスしたり、ブレイクの小節を反復させたテープを使い、ブレイクに “タメ” を作ったりすることでディスコをハウス・ミュージックへと昇華させ、文化を発展させたのです。

後にフランキー・ナックルズは「ハウスはディスコの復讐なんだよ」と語っています。

ハウスという名前の由来

ハウスの名前を付けた人物や、名前が広まったきっかけは不明です。

シカゴでハウス最初期のDJであったFarley “Jackmaster” Funk(ファーリー・ジャックマスター・ファンク)は、「ハウスミュージック」という言葉を1982年に初めて聞いたと証言しています。この年はフランキー・ナックルズがウェアハウスでDJを始めた年なので、DJ開始後すぐにジャンル分けされ広まったということが推測できます。

では、どこからどうやってハウスという名前は広まったのでしょうか。有力な説とされているのは、シカゴのレコード店が「The Warehouseで演奏されたレコード」を「ハウスミュージック」と短縮してラベリングしたことで広まったとされる説です。

別の説もあります。ハウスシーンの初期を知るLarry Heard(ラリー・ハード)は、「ハウスという用語は、手頃な価格のシンセサイザーとドラムマシンを使用して、ホームスタジオで音楽を作成するDJに由来する」と述べています。

どういうことか詳しく説明すると、1980年代初頭、シカゴのラジオでフランキー・ナックルズやロン・ハーディといったDJたちはディスコを流していました。DJでもあるリスナー達は、ラジオで流れたお気に入りの曲をテープで録音し、そのテープを切り貼りで独自に編集、その上にドラムマシンやシンセサイザーの機材を重ねるという作曲作業を「家(ハウス)」で作りあげていたのですが、このことに由来している。ということです。

と、いくつか説はありますが、どの説も確かではありません。

ハウスの誕生と歴史

【1980年代初頭】
ハウスの誕生

正確な年代は不明ですが、ハウスはフランキー・ナックルズ、ラリー・レヴァン、ロン・ハーディらが初期のハウスミュージックに進化させる上で極めて重要な役割を果たし、1980年〜1983年辺りに確立されたと言われています。(ラリー・レヴァンとロン・ハーディはハウスではなくガラージというジャンルの確立にも献上)

最初期のハウスは、ディスコ、ファンク、ソウル、エレクトロポップなどの楽曲を、より踊れるようにとリミックス/リエディットしたりしたもので、オリジナル楽曲がリリースされるのは1986年からです。

1983年にフランキーナックルズがThe Warehouseを去ったことでthe Muzicboxへと名前が変更。後釜として入ったDJ Ron Hardy の1983年当時のプレイ音源

ハウスの発展

リミックス/リエディットが主流だった最初期が過ぎ、ハウスのオリジナル楽曲が目立ち始めたのは1985〜86年。フランキー・ナックルズが “You Can’t Hide” をリリースし、Marshall Jefferson(マーシャル・ジェファーソン)が “Move Your Body” を、そしてMr. Fingers (Larry Heard) は “Can You Feel It” をリリース。これらの楽曲は、いまだにプレイされる名曲となりました。

その後ハウスはアメリカを中心にイギリス、イタリア、フランス、アフリカへと旅立ち、その国々の特徴が合わさったサブジャンルが派生していきます。

数え上げるとキリがないので、ここではハウスシーンでも特に重要と言える3つのサブジャンルを年代ごとに見ていきましょう。

【1985年】
ディープハウス

ハウスで最も早く派生したサブジャンルであるDeep House(ディープハウス)の最初のオリジナル・トラックは、1985年にリリースされたMr Fingersの “Mystery Of Love” とされています。

通常のハウスに比べボーカルの採用率が高く、アンビエントなシンセミックスなどを使用し、EDMなどで見られるアッパーなドロップとビルドアップはディープハウスでは非定的です。爆発力がない代わりに、どのハウスよりも“深く踊れるサウンドデザイン”が採用されています。

【1987年】
アシッド・ハウス

そして1987年にはハウスのサブジャンルであるAcid House(アシッドハウス)が誕生。

世界で一番初めにリリースされたとされるアシッド・ハウス

Roland TB-303のツマミをいじり倒していたところ、偶然発見されたとされるこの奇怪な音楽は、一般人の理解の範疇を超えるサイケデリックなベースラインがエクスタシー(MDMA、MDA)などの違法薬物と相性が良いとしてクラブで大流行しました。

ひたすら踊れる音楽に作られたハウスと、ひたすら踊れるようになる薬物の組み合わせは、実際に休むことなく踊る人々を続出させることになり、躍り過ぎが原因で高熱や脱水を起こし死亡したり、逆に、それに対処しようと水を摂り過ぎて低ナトリウム血症で死亡したりするケースを引き起こすこととなったそうです。

【1990年】
プログレッシブ・ハウス

アシッドハウスはアメリカを渡り、イギリスの若者の間でも爆発的に流行りました。

1990年にLeftfield(レフトフィールド)らUKのDJ/プロデューサーが開拓されたと言われるプログレッシブ・ハウスは、アシッドハウスの派生ジャンルと言っていいでしょう。

イギリスではクラブではなく、使われていない倉庫や廃墟に忍び込んで、夜な夜なレイブを開催するというアンダーグラウンド文化がありましたが、そこでプログレッシブ・ハウスは誕生したとされています。

黒人由来のファンキーなシンセコードから、白人が好むエモーショナルなシンセコードに置き換わり、エレクトロやUKロックの影響が見られるファンクレスなサウンドが特徴です。

アンダーグラウンドで成熟したプログレッシブ・ハウスは、UKのバンド系ミュージシャンらにも影響を与えましたが、特にUnderworld(アンダーワールド)はテクノやロックの要素も取り入れた独自のサウンドで話題を呼び、2003年にフジロックの大トリを飾るほどのバンドに成長しました。

現在のハウスシーン

2000年代に成熟しきったかのように見えたハウスシーンですが、フューチャー・ハウスやベース・ハウスなど、EDM系譜のサブジャンルが誕生したり、デヴィッド・ゲッタなどの大物EDMプロデューサーやウルトラなどの大手EDMレーベルがハウスに鞍替えする現象が多く見られます。

2019年では、一過性のものではありましたが、Black Coffee(ブラック・コーヒー)などのアフロハウス系DJ/プロデューサーらが大型フェスで人気を集めました。

また、アンダーグラウンドでも相変わらずの人気は続いており、テクノと並ぶアンダーグラウンドの人気音楽ジャンルとして君臨し続けています。日本でもクラブイベントの多くはハウス系です。

あとがき

ハウスは昔も今も人気のジャンルで、音楽のメジャーシーンで活躍するアーティストも頻繁にハウスリミックスを出したりしていることから、幅広い層に支持されていることが分かります。

個人的にはデトロイト・ハウスやフィルター・ハウス周辺も解説したかったのですが、はんぱない量になってしまいますので、この辺りはハウスのサブジャンル解説編に回します。

ハウスは、シンプルなリズムパターンなのに本当に多種多様ありますので、ハウスに触れて間もない方は、以下のプレイリストを参考に、お気に入りのアーティストを見つけてみてはいかがでしょうか。

ハウスミュージック・プレイリスト

最近リリースされた人気のハウス・ミュージックをプレイリスト化しています。良かったらチェックしてみてください。


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